2019年の初映画は、大好きな小津おじの『浮草』(1959年)
1934年に松竹で製作した『浮草物語』を
自らが大映でリメイクした作品。
(『浮草物語』は未見)
リメイクするくらいだから、
余程思い入れがあるのかなと思うけど、
小津おじのカラッとした作風と違った
じっとりとした情愛を描いた人情劇です。
まず、キャスティングが秀逸でした。
旅回りの一座の座長・駒十郎役に二代目中村鴈治郎。
彼がかつて興行で町を訪れた際に
男女の仲になった飯屋のおかみ・お芳役に杉村春子。
二人の間に生まれた息子で、駒十郎を伯父と信じて育った清役に川口浩。
現在、座長と恋仲で一座の人気女優・すみ子役に京マチ子。
お芳を度々尋ねる駒十郎に嫉妬したすみ子から
清をそそのかすように頼まれる一座の若手女優・加代役に若尾文子。
どれもハマリ役。お見事でした。
久々の小津作品でしたが、冒頭の灯台を映したショットから小津節炸裂で、
思わず口元が緩んでしまいました。
が、私は やっぱりカラッと洒脱な小津作品の方が好きです。