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| 2020.01.26 Sunday | - | - |
希望のかなた
アキ・カウリスマキ監督の最新作『希望のかなた』を観ました。

先日の『パーティで女の子に話しかけるには』が
どうも消化不良というか、後味が良くなくて。
それでいて、インパクトあるシーンが頭にこびりついていて。
(逆に、それだけ記憶に残るって、すごい映画かも!?)

だから、自分のテイストに合う作品を観て、
リセット&上書きしたくなったのです。

本作は、今年のベルリン国際映画祭で監督賞を受賞した作品。
前作『ル・アーヴルの靴みがき』から始まる“港町3部作”。
シリーズ名を“難民3部作”に変え、本作はその2部になるそうで。

(なのに、監督は引退したい意向を発表していて。
 シリーズ全部撮りきってないのに、引退しちゃダメじゃん!)

いやあ、久々に 観賞後に感情が言葉にならないというか、
この感動を言葉に変換したくないと思った作品でした。

カウリスマキ作品の好きなところは、過去にも書いているので省略しますが、
これまでのテイストを残しつつ、社会派として主張や問題提起も打ち出しています。

1512829952025.jpg
 シリアからフィンランドに逃れてきた
 難民の青年カーリド。
 (妻夫木聡と山田孝之を足したような顔)

 妻と別れ、洋服卸の仕事も辞め、
 レストランの経営者として心機一転を図る
 フィンランド人の中年男性ヴィクストロム。

 接点のない二人の人生が、
 ひょんなことから交差します。


祖国のシリアでも、フィンランドまで逃げてくる間も、
フィンランドに入国してからも、ずっと不遇続きのカーリド。
見ていて、やるせない気持ちになるんです。
だからこそ、ヴィクストロム達の存在に救われるんです。

ヴィクストロムをはじめ、レストランの従業員たちは
みんな無表情だし、多くを語らないし、
あまり他人に関心がないように見えます。
しかし、実は 心優しく、慈悲深い人たちなんですね。

こういう映画を作るカウリスマキ監督って、
ものすごくいい人なんじゃないかしら!?と思ってしまう。
作品から慈愛が滲み出ている。

でもね、直球じゃないんですよね、その表現が。
ちょっとシニカルなシーンだったり、
ちょいちょいユーモラスなシーンを入れてくる。
シャイ、なんですかね?
ま、そういうところも好きなんですけれども。

あと、今回も監督の親日家っぷりが堪能できます。
(日本人なら笑えること間違いなし!のシーンあり)
そして、音楽とか色合いとか、カウリスマキ作品には
なぜだか70年代の昭和歌謡のような哀愁が漂います。

ラストシーンだけ、ちょっと疑問が残りました。
「え、どういうこと? どっちなの??」と。

本作の原題は 「The other side of hope」
直訳すると「希望の別の面」 つまり、希望の裏に潜むもの。

この映画で伝えようとしていることを考えると、
タイトルは原題の方がしっくりくるような気がします。

| 2017.12.08 Friday | 2017 movie | comments(0) |
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| 2020.01.26 Sunday | - | - |