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| 2020.01.26 Sunday | - | - |
裸の島

 今年逝去された新藤兼人監督の追悼というわけでもないけれど、
 『裸の島』 のDVDをレンタルして観ました。

 今年の東京国際映画祭で
 「日本橋で映画を観よう」 という企画があり、
 その中で上映された1本です。
 観に行くつもりが行けなかったのです。
 (そんなのばっかりです、私)


台詞が一切ないことは、鑑賞する前に知っていました。
しかしながら、どうして台詞を無くさなければならなかったのか、
映画が始まってから しばらくは 「?」 という感じでした。

毎日まったく会話のない家族というのも不自然に見えたし、
表情も乏しく喜怒哀楽もなく、個性もなく、
生きるために ひたむきに労働する夫婦の姿に
何を感じ取ればいいのか、わからなかったのです。

中盤から、ドラマ性が出てきて、映画の中へグイグイと引き込まれました。
そして、小さな喜びの後、大きな悲しみに襲われるのです。
観ていた私は、この家族と一緒になって 一喜一憂していました。

観終わって、この映画は 人間が生きるというのはどういうことなのか、
それを一番見せたかったのだろうと思いました。

台詞のない中で、特に際立っていたが 乙羽信子です。
しばらくすると 女優だということを忘れて、
瀬戸内海の孤島に暮らす一人の農婦にしか見えなくなっていました。
今だったら、日本アカデミー賞 主演女優賞ものでしょうか。

そうそう、この映画は1960年に製作されたのですが、
まるで東南アジアの発展途上国のドキュメンタリーのように感じました。

当時、映画が大衆娯楽であった時代に、
新藤監督がこんな台詞を排除した実験的な映画を撮ろうと考えたこと、
また、それを敢行したことに ただただ感服するばかりです。
| 2012.12.29 Saturday | 2012 movie | comments(0) |
ディア・ドクター
フィルメックスが終わってからは、
映画館へ行く時間もなく、家でDVDを観る時間もなかなかとれず。
ネットレンタルでDVDを借りたものの、なかなか観れなくて、
いくら返却期限がないとはいえ、このまま年越しでは さすがに悲しすぎる!


 というわけで、ようやく観ました
 『ディア・ドクター』

 西川美和監督、やっぱりうまいなあ〜。

 前作 『ゆれる』 が高く評価されたこともあってか、
 今回はキャストも より豪華になってますし、
 鶴瓶師匠の演技も見応えがありました。


(以下、ネタバレあり)
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| 2012.12.26 Wednesday | 2012 movie | comments(0) |
第9地区

 なんと言いますか、ここのところ鑑賞してきた映画と比べると、
 少々変り種(だね)と言いますか、変化球と言いますか。

 公開時、“ 異色のSF映画 ” として話題になりましたよね。
 南アフリカの作品ということも 何となく気になっていて、
 宅配レンタルDVDのリストに入れておいたんです。


自分が普段あまり観ないジャンルなので、他との比較しようがないのですが、
まあまあ 普通に楽しめる作品ではありました。

“ 異色 ” と言われる由縁は、人間とエイリアン(宇宙人)が
地球で共存してしまうという点でしょうか。
しかも、エイリアンは地球を襲撃してくるパターンが一般的ですが、
本作では 栄養失調で弱ったエイリアンたちを “ 難民 ” として受け入れるのです。
そういう発想は、今までのSF映画にはない新しいものだと思います。

監督いはく、「CGを使いすぎないように、
ハリウッド映画のようにならないように意識した」
とのことですが、その辺りの差は よく分からなかったかなあ〜?
低予算で製作されたとも聞いたような気がするのだけれど、
CGも結構使っているし、安っぽさは感じられなかったですけどねえ?

エイリアンのビジュアルは、昆虫をイメージして作られたらしく、
昆虫が人間並みの身長になり、長くなった脚で二足歩行している様は、
リアルに気持ち悪いんです(苦笑)
それなのに、セリフでは彼らを 「エビ」 と呼ぶんですよね〜。 (なんで?)
確かに、甲殻系の風貌で、手も 指というよりハサミのようですけど。

あと、最大の謎は・・・

(以下、ネタバレあり)
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| 2012.12.08 Saturday | 2012 movie | comments(0) |
カルメル
第13回 東京フィルメックス 《特別招待作品》

イスラエルのアモス・ギタイ監督の新作 『父へのララバイ』 の上映に伴い、
3年前のフィルメックスで好評だった 『カルメル』 も上映されるとのことで観てきました。
本作は 「傑作」 との呼び声も高く、好奇心と期待に胸を膨らませて会場入りしました。

が。

チンプンカンプン。

恥を忍んで申し上げますが、監督は 何を一番表現したかったんだろう??(涙)

いやあ〜、久々じゃなかろうか、この感じ。
難解で分かりづらい映画は多々あるけれど、そういう部類のものでもなくて。
この感じは何なんだろう?と自分なりに分析してみたところ、
ストーリー性の欠落が大きな要因ではないか、と。

「イスラエルの歴史とギタイ本人の個人史とが感動的に織り成された傑作」
とチラシの解説にあったので、予備知識は多少あって観ましたが、
私には 疑問と睡魔の総攻撃状態でした・・・

解説に 「ドキュメンタリーとフィクションの境界をも超越しつつ」 とあるように、
数々の場面がキルトのように断片的に繋がれていきます。
しかし、それぞれの関係性がハッキリしないのです。
場面ごとの台詞や会話も、それが何を意味しているのか、
何を伝えようとするものなのか、それが分からなかった。
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| 2012.12.02 Sunday | 2012 movie | comments(0) |
メコンホテル
第13回 東京フィルメックス 《特別招待作品》

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の新作 『メコンホテル
まず 「あれっ?」 と思ったのは、表面的な作風の変化です。
なんか、スタイリッシュになったというか、洗練されたというか。
これまでは、どこか土着的なものが多かったし、
“ 湿度を伴う蒸し暑さ ” のようなものが感じられたんですよね。

全編、メコン川のほとりに建つホテルを舞台にカメラは回ります。
オープニングに写し出されるギタリストのアコースティックギターの音色は、
「スペイン風」 って台詞のようなラテン系ではなく、ロハス的なリラクシン・サウンド。
これが心地好く、映画に良い意味での軽さをプラスしていて、
もうね、パッと見は 「キユーピーのCM?」 「何かのPV?」 って感じです。

しかし、そこはアピチャッポン監督、普通では終わるわけがありません。
“ 人間の内臓を食べる霊 ” なるものの話が出てきて、
アピチャッポン作品特有の不可解さと不気味さがつきまといます。
また、監督作品では常連ともいえる俳優さんたちが
本作でもキャスティングされていて、独特の雰囲気を醸し出しています。

本作は60分という長さもあり、比較的ライトな感じの作品で見やすかったです。
しかし、鑑賞後 改めて認識していなかった設定が発覚。
チラシの解説を読んでいたら、
「メコン川流域の静かなホテルで映画の撮影隊がリハーサルを行っている。
 それは人間の臓器を食う幽霊を扱った映画の企画だった...」 と書いてある。

撮影隊?? え、そういう設定だったの!?
そう言われてみれば、序盤で俳優たちが話してるシーンは
インタビューに答えている風に見えなくもなかった。
私、てっきり 「ホテルに滞在している人々」 だと思ってました(汗)

(以下、ネタバレあり)
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| 2012.12.02 Sunday | 2012 movie | comments(0) |
夕焼け雲
第13回 東京フィルメックス 《木下惠介生誕100年祭》

正直なところ、本作は観る予定はなかったのですが、
空き時間に 行き当たりばったりで鑑賞した 『夕焼け雲

しかし、それが吉と出まして、とても楽しめました。
木下惠介監督作品を観るのは初めてで、
本作は特に代表作というわけではなかったけれど、
思いがけず 良い入口に出会えたように思います。

まず、終戦から10年が経った “ 昭和 ” の風景に惹かれました。
そして、独特のカメラのアングルに、木下監督の芸術的な表現力を感じました。

物語の主人公は、魚屋の長男として生まれた15歳の少年。
家は貧しく、年頃の姉、幼い妹と弟、乳飲み子の弟がいます。
そんな中、一家の大黒柱である父親が病に倒れます。
美人の姉は、そんなことはお構いなしで、
貧しい暮らしから脱却しようと、玉の輿にのることに必死になっている。
大阪で商売に成功した伯父は、幼い妹を養女に迎えようと上京してきて・・・

夢を諦め、運命を受け入れて歩んでいく思春期の少年を中心に、
当時の庶民の暮らしや懸命に生きる姿、現実の厳しさを描いています。
ちょっぴり寂しい話だけれど、暗い映画ではありませんでした。
それは多分、当時(戦後)は過酷な状況で生きている人が多く、
特別な話ではなかったんじゃないかな。
だから、監督も “ お涙頂戴 ” 的な作り込みはしなかったのかな? と思います。

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| 2012.12.02 Sunday | 2012 movie | comments(0) |
白夜

 ロベール・ブレッソン監督が1971年に製作した映画
 『白夜』 を渋谷ユーロスペースで観ました。

 観たい新作が数ある中、敢えて旧作を選んだ理由は、
 高い評価をされていながら、
 日本で公開される機会が極少だったということから。


しかしながら、私にとって本作が初めてのロベール・ブレッソン作品であったこと、
またドストエフスキーの原作を未読であったことが、
映画を鑑賞する上で 十分に満喫できない要素となってしまったように思います。
ドストエフスキーの原作の良さ、R・ブレッソン監督の特長をよく知らなかったから。

さらに、作品の中でメインとなる登場人物3人(男性2人と女性1人)のうち、
男性2人が生理的に苦手なタイプだったことも、楽しめなかった要因の1つでした。
体つきはヒョロヒョロと頼りなく、目はギョロリとしていて、
行動や妄想もストーカーみたいで、どうにも気持ち悪くてダメだった。

そんなわけで、女性が2人の男性に惹かれ、
2人の間で揺れ動く心情がまったくもって理解できず・・・
一旦そうなると、もう欠点しか目に入らなくなるのです。
(主演が演技経験のないっていうのも影響しているのかもしれないけど)

そんな中で、際立って良かったシーン。
それは、音楽が流れる場面です。

セーヌ河をゆく遊覧船の中で演奏する異国のバンドとか、
アコースティックギターで弾き語りする路上ミュージシャンとか、
街中によくある風景で不自然ではないんだけれど、結構 唐突に入り込んできます。

しかも、音楽も 映像も 大変美しくて、映画の世界を乗っ取ってしまうくらい素晴らしい。
ミュージックビデオみたいで、音楽のセンスがストライクだったことも相まって、
私は すっかり心を奪われてしまいました、主人公たちを置いてきぼりのまま(苦笑)

これは本当に不思議な現象でしたねー。
ロベール・ブレッソン、もう少し掘り下げてみたくなりました。
| 2012.11.09 Friday | 2012 movie | comments(0) |
セイジ −陸の魚−
伊勢谷友介監督、西島秀俊、森山未來主演の映画 『セイジ −陸の魚−』 を DVDで観ました。


 ちょうど1年前に開催された東京国際映画祭で見逃し、
 今年初めの劇場公開でも見逃して、
 ようやくDVDレンタル開始となって借りたものの、
 1ヶ月以上 観ることなく・・・ (どんだけ〜? 苦笑)

 小説の原作は読まずに映画を観ました。
 そして、例によって 事前の情報は
 極力 耳に入れないようにしていましたが、
 R指定がついている映画なので、
 “ 衝撃的な何か ” があるのは予測できていました。


前半は、所々のシーンで俳優・伊勢谷友介の“ 監督 ” としての美学というか、
芸術家の “ どや顔 ” が浮かんでくるようで(苦笑)、それが鼻についてしまったり。
そして、久々に観た女優・裕木奈江の演技は、やっぱり好きになれないなあ〜と感じたり。
そんなこんなで、しばらく落ち着きませんでした。

でも、そういう邪念が出てくるのは、映画の世界に集中できていないわけで、
現実世界から切り替えられていないからだったのだな、と鑑賞後の今は思います。

伊勢谷君が俳優ではなく監督専業だったら、そんなには鼻につかなかっただろうし、
裕木奈江だって、監督に要求された演技をしているわけで、
その撮られ方だって、監督が求めているだけなのだから、
プロとして仕事を全うしただけのこと。(監督のフェチっぷりが分かりやすかった。笑)

そう思うに至ったのは、主演の森山未來君と西島(秀俊)さんの演技が良かったから。
大学4年生である「僕」(森山)と、どこか謎めいた男「セイジ」(西島)。
二人は、俳優としてではなく、それぞれの役の人物としてスクリーンの中に存在していました。

だから、気づけば 私は映画の世界に入り込んでいて、
中盤からは物語のミステリアスな部分が気になって仕方なくなり、
前半で鼻についていた諸々も、いつの間にか気にならなくなってました。
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| 2012.10.14 Sunday | 2012 movie | comments(0) |
ゆれる

 西川美和監督、オダギリジョー、香川照之主演の
 映画 『ゆれる』 を DVDで観ました。

 何年越しの願望でしょうか、
 遂に鑑賞するに至りました(笑)
 
 観たい西川美和監督作品はあれど、
 本作を観ずして 先に進んではいかん!と
 勝手に自制しておりました。


鑑賞後、自制して正解だったな、と思いました。
西川美和監督作を観る上で、本作をスルーしちゃダメだな、と。
映画好きの人々に この作品を薦められた意味が、ようやく分かりました。

西川美和監督作品は よく
「人間のドロドロした部分を描き出す」 という言われ方をされます。
確かに 暗い部分を描いてはいるけれど、醜態や憎悪というほどのものではない。
おそらく、多くの人間が 少なからず持っている
エゴや保身、妬みというネガティブな本質を炙り出す感じに近いと思います。
(ガンジーやマザーテレサのような聖人には当てはまらないかもしれないけど)

その炙り出し方が、また実に巧いんですね。
非現実的な出来事は起こらないし。
中でも、無音の映像の撮り方が絶妙。ガラス越しの写し方もすごくいい。
胸がヒリヒリするようで、後から後から ジワジワくる映画です。

キャスティングも、かなり良かった。
兄・稔役の香川(照之)さんの巧さは言うに及ばず、
弟・猛(たける)役のオダギリジョーはハマリ役!
彼のためにあるような役で、彼以外の配役は想像できなかったです。
男の色気というか、演技だけではない、持ち味みたいなのがある。

そして、真木よう子にも驚きました。
彼女、強い女を演じるイメージがあったけど、
あんな風に か細い・か弱い女性を演じることもできるんだなって。
最初スクリーンに現れた時、真木よう子と気づかなかったくらいです。

あと、もう一つ特筆すべきは “ 音楽 ” 。
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| 2012.10.08 Monday | 2012 movie | comments(0) |
大奥

 地上波で放送された映画 『大奥』 を観ました。

 と言っても、仲間由紀恵主演の方ではなく、
 二宮和也・柴咲コウ主演の
 “ 男の大奥 ” の方です。


コミックが原作の本作。
製作・キャストが発表された時、
”男女逆転の江戸城 ” という発想が面白い! と思いました。

さて、観ての感想は・・・
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| 2012.10.04 Thursday | 2012 movie | comments(0) |
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